智明が三毅を堕とそうと色々する話(2)
「藤堂。着替え終わったか?」
智明はノックをしてすぐに藤堂の部屋の扉を開けた。
「うっす! 大丈夫っす!」
確かに着替えは完了していたし、返事そのものは元気が良かったが、顔色はやはり不安げで優れない。しかし智明はそのことを努めて無視した。
「よし。これからのお前への命令を説明するぞ」
「う、うっす」
「三毅を犯せ」
「うっ……ええええ!?」
もう少し予期しているのかと智明は思っていたので、想像以上の驚きぶりだった。
「何でそんなに驚いてるんだ」
「いや、それは驚くっすよ! え、え、どうしてですか!? 何でそんなこと!」
「俺の命令は、理由がわからないときけないのか?」
「いえ、あの…! もちろんご命令とあれば、きちんと遂行させていただくっす! ですけど、理由が知りたいと思うのは…いけないっすか……?」
智明は大げさな溜め息を一つついてから言った。
「藤堂、お前、まだ藤堂三毅のことを家族だとか兄弟だとか思ってるんだろ? だから、三毅が負けたって聞いたら心配そうな顔したりするんだろ? もう他人になったんじゃなかったのか?」
「え…いや……それは……」
「相手が追いかけて来なくなったからってそれで終わりか? まだお前の心の中に三毅がいるなら、あんな苦労して三毅と戦った意味がまるでないだろうが! 殴り合いが出来ないなら俺の前で三毅を犯して見せろ。あんな奴のこともう他人だと思ってるってこと証明して見せろよ」
「うっ…わ、わかったっす。やってみるっす……!」
智明は神妙な面持ちでうなずくと、藤堂を物置まで連れていった。の前では溝口が見張りのようにして立っている。
「三毅の様子は?」
「床に繋いでおりますが……まだ全く落ち着いておりませんで。暴れております。どうなさいますか」
「……目隠しと、耳栓を追加してほしいんだけど」
小声で溝口にそう頼む。
「かしこまりました」
そう言って一旦その場を離れた溝口だったが、戻ってくるのは非常に早かった。
「では、少々お待ちを」
と言って溝口は物置の中に入っていく。智明は、藤堂の姿が三毅の目に入らないよう、藤堂の体を押してドアから遠ざける。
「ごしゅじんさ…?」
「シッ!」
溝口はすぐに物置から出てきた。
「お待たせいたしました、坊ちゃま。耳栓は構造上、音が完全に聞こえなくなるわけではありませんのでお気を付けください」
「わかった、ありがとう。よし、行くぞ。藤堂はしばらく黙ってろよな」
智明は藤堂を従えて物置の中に入った。
三毅は確かに「床に」繋がれていた。
工具でも使ったのだろうか、床に金具が打ち付けられ、そこから頑丈そうな鎖が伸びて首輪へと繋がっている。長さは50センチもなさそうだった。
顔は言った通りに目隠しと耳栓が追加されて、もともとしていた猿轡ももちろんそのままだ。
手は後ろ手に手錠をかけられているし、足にも足枷がされている。足枷の方は多少長さにゆとりがあるが、鎖ではなく金属の棒のようなものに変わっていた。つまり足は開きっぱなしの状態ということになる。そして、その棒もまた床に繋げられていた。少し腰が宙に浮いている状態、とでも言うのだろうか。
そんな風にガチガチに拘束された三毅は、声にならないうめき声をあげながら必死で身を捩っていた。
智明は何だか面白くて笑いそうになった。
なまじ体力があるだけに、諦めて大人しくすることも出来ないらしい。目隠しされていて、あの狂気じみた殺気を発する瞳も見えないので、全く恐ろしくない。
これは単なる、変な動きをしている物体だ。
ミドル級チャンピオンのボクサーなんかじゃないし、藤堂の兄でもない。そう思った。
「これ使え。ほら、早くやれよ」
智明はボディローションを藤堂に軽く投げて渡し、自分は物置の壁にもたれかかって座った。
「……」
藤堂はまだ躊躇っているようだったが、静かに三毅のところへ歩み寄っていく。
三毅は人が近くまできていることに気付いているのだろうか、それさえもわからなかった。
藤堂は息を一つ吐いて、思い切ったような動きで三毅のズボンに手を掛けて手早くベルトを外し、パンツと同時に膝下まで一気に下ろした。
突然のことで驚いたのだろう、三毅は辛うじて動かせる腰と足を必死でばたつかせて、抵抗を始めた。
「うーっ、ふううう、んぐっ、ぐううーッ!」
大丈夫かなと智明は一瞬心配したが、藤堂は思いの外冷静で、その暴れる三毅の尻に力一杯の張り手を食らわせた。
「っ!!」
物凄い音が鳴る。智明が反射的に目を塞ぎかけた程だった。三毅も痛みの為か数秒動きを止めた。
その止まっている間に、藤堂は更なる一発をお見舞いした。
狭い物置に再び鳴り響く、周波数の高い痛々しい音。
「すっげぇ……」
艶めかしい物というより、プロレスの残虐ファイトな試合でも見ているような気分で智明はそう呟いた。
三毅は今度こそ動きを止めていた。
藤堂はローションのボトルを開けて、三毅の腫れ上がった尻に向けてそれを垂らしていく。
「んーっ! んうーっ! ふぐぐぅーっ!」
三毅はこれから自分が誰に何をされるのか、わかっているのだろうか? 智明は自問してみる。
多分、わかっていないだろうと思う。
そもそも三毅は、藤堂のことを「智明の執事になった」としか思っていない。女装姿は見たが、それも単純におふざけで、自分への嫌がらせとしか思っていないかもしれない。まあ、実際それもあるのだが。
愛し合っているとか、セックスする関係だとか、そこまでは全く考えが及んでいないのではないかと思う。
さぞかし頭の中が混乱しているだろうな、殺されるとか思ってるのかもしれないな、と智明が面白がっていると、藤堂の動きが止まっていることに気付いた。
「おい、どうした?」
よく見てみると、どうやら勃起していないので困っているらしい。
「……仕方ねーな」
智明とて、ドMの藤堂が、拘束された実の兄の尻を引っ叩いただけで勃起出来るとは思っていない。
智明は立ち上がり、棒立ちしている藤堂の後ろに移動した。
「ほらぁ、早く挿れてやれよ…俺が見ててやるからさ……ケツにチンコ突っ込まれる悦び、たっぷり教え込んでやれ……お前なら出来るだろ?」
小さい声でなければならないので本当は耳元で囁きたかったのだが、身長的に難しく背中に向かって言うような形になった。
しかしそれでも藤堂への効果は充分だったらしい。藤堂のペニスがゆっくりと頭をもたげ始める。
「そうだ、いいぞ…とっととやれよ……」
「……」
藤堂は無言を守ったまま固く頷くと、微動だにしていない三毅の尻の肉を掴んで、そのまま一気に押し込んだ。
「ーーっ!? ふぅーっ、んーっ、ぐうううう!」
三毅はまたもがき出した。
馴らしもせず、急に藤堂の太チンコ挿れられたらそりゃあびっくりするよなあ、と智明は思う。
「あっははっ……」
こんな迫力のあるショーなんてなかなか見られるものではない。智明は息をのんで二人の様子を見つめる。
藤堂の動きが、徐々に速まっていく。
それは、命令のため――というだけでなく、自分の快楽の追求のためにそうしだした面があるように、智明の目には映った。
「どうした? 気持ち良いのか?」
藤堂は赤くなって荒く呼吸をしながら、何とも言えない切ない顔をして智明を見る。
「もうしゃべっていいから、答えてみろよ」
「きっ…気持ち、いいっす……」
「どこがどう気持ち良いのか説明しろ」
「なんか、凄く…ギュッて締まって……っ、逃れようと動いてる、せいか…中もぐわんぐわんしてて……よくわかんないっすけど…気持ち良いです……!!」
その説明に、智明はそれなりに満足した。
「ふーん……よく言えました。ご褒美な」
智明はそう言うと、ズボンの上から藤堂の尻を鷲掴みにしてやった。
「ひゃっ、ふ……!」
「お前、もう声出していいから、イく時はイく前にちゃんと言えよな」
「わ…わかった、っす!」
物置の中には、固い肉と肉がぶつかる音と、三毅のくぐもった唸り声以外に、藤堂の悲愴な喘ぎ声がこだますることとなった。
「んんー! んぐぅーー!!」
「あっ、あぁ、ごしゅっ、ご主人様ぁ、きもちい…気持ち良いっすうぅ……ご主人様、自分、怖いっす、駄目です、自分、どうなっちゃうかわかんないっす……っ!」
「あっはっはっは!! そーかそーか! 好きにしろよ! どうとでもおかしくなっちまえよ!」
「んむっ!? ぐーっ、うぐぅーッ!!」
「はぁ、はぁ、あぁ、はぅっ……ご、ご主人さ、ま、そろそろイキそ、っすぅ……!」
智明はその言葉を聞くと、三毅の頭の方へ回って耳栓を二つとも外した。
「なあ、藤堂三毅。聞こえるかあ? 今、目隠しも外してやるからさぁ。お前の処女奪った奴の顔、よーく見てやれよ、な」
そう言って智明は、目隠しも取り去る。
目線の先にいるのが自分にならないよう、後ろから手を回して取り、取るとすぐに藤堂の後ろへと移動した。
三毅は急に辺りが明るくなったためか2、3回瞬きをした後、首を無理矢理捻って後ろを振り返った。
「……!!」
視界が自由になったばかりなのに、三毅の目の前が一気に暗くなっていっていると智明は思った。たまらない光景だった。
「ほら藤堂、イけよ、イキそうだったんだろうが? イけっ! 三毅の中でイけよ! 早く!!」
「はっ、はいっ!! 出る…っすぅ!」
後ろからで結合部は見えなくとも、藤堂が射精しているのがわかる。
「はは、あはははは!! すげぇな藤堂、お兄ちゃんに中出しかぁ! あははは! すっげー変態だな!」
と笑ってはいたが、智明のペニスも暴発寸前でパンツとジーンズを張らせていた。これは処理しておかなければどうしようもない。
智明は再び数歩歩いて三毅の頭の前に行くと、ファスナーを下ろしてペニスを取り出す。
自分で少ししごくだけで、すぐに出てしまいそうだった。
「おい、三毅、顔上げろ、こっち向けよ」
三毅はショックが大きすぎたのか放心状態で、すっかり元気をなくして床にうつ伏せになっている。
「顔上げろつってんだよ!!」
智明が怒声を上げると、三毅はびくりとして智明の方を向いた。良い傾向だ、と思った。
「ふふ、ふ……あぁ、い、くっ!!」
智明の精が、勢いよく大量に放出されていく。
三毅はとっさに顔を背けたが、髪の毛や額に多量の精液を浴びせられ、垂れ落ちていく。
「ん、ぐ……っ、ふううう、ぐうううう」
手の自由が無いので拭うことも出来ない。
目の中に入るのを防ごうとしているのか、目をぎゅっと閉じる様が滑稽だと智明は思った。
「はは…っ。藤堂、俺部屋に戻るから、この中適当に片付けとけ。三毅の体も拭いとけ。じゃあ」
まだ日にちはたっぷりある。
次は、何をしてやろうか。
猛獣を手懐けようとするかのような楽しさを、智明は感じ始めていた。