藤堂ルートからのパパEND後の、智明×小町(拓さんもいるよ!)後編
「あぅっ、ひぃっ、お、俺も…すごっ……いい…ッ! あッ! ひゃぅう!」
しばらくの間、智明は無心に腰を動かしていた。
狭い部屋の中に、肉と肉のぶつかる音がバツンバツンと響きわたる。
「はぁ、はぁ、はぁ……あー、ちょい、気持ちいいけど、疲れてきた…小町っちゃん、上乗って。上」
一旦ペニスを抜きながら智明が言う。
「んひゃっ……。え? はいはい。ったくだらしねぇなぁ。夜はこれから、だぜぇ?」
「……そうだな。これから"だから"? 今燃え尽きたらダメだろ?」
智明はすっかり乱れきった布団のシーツの上に仰向けに寝転がる。
「まぁ、いいけど、よっ」
小町がその上に跨って、既にぐちゃぐちゃにとろけきっている己のアヌスに智明のペニスを導き入れる。
「あぁ……くぅっ!」
挿入角度が変わると、また違った感覚がある。
しかも、小町が好きなように動くので、それが新しい快感をもたらした。
「うぁっ…何だよコレぇ……こま、っちゃん!」
「ぅん……? 何って…別に、なんでもねぇ、よぉ?」
何でもないなんてことはなかった。
中がぐわんぐわんに動いている、ペニスを締め付けられるような切ない刺激。
「ひっ……ん、ほんっと、長い、よなぁ……っ! 奥のほう、すげぇ……腹の、奥、まで…ッ、やべぇ、もうダメ……っ」
そう言うと、小町は前かがみになって智明の脇腹の横あたりに両手を置き、めちゃめちゃに腰を振り始めた。
「なっ……! 急に激しくすんな…っ、で、出る、出ちまうからぁあ!」
「お、俺も、俺もイきそぉ……なぁ、なぁ、お腹の上に出してもイイ?」
小町は右手をいつの間にか自分のペニスに移していて、懸命にしごいていた。
「えっ、あっ、や、イヤだけど!? でも、俺、もう出るっ……から、それどころじゃ……っ!」
今、この気持ちのいい動きをする小町を、離したくない。その思いが勝った。
智明は熱い精液を放出し、それとほぼ同時に小町も白い液体を智明の体の上に射出した。
それは腹どころか、胸にまで届いていた。数滴は首あたりにまで達している。
「うっ、うぅ、はあ……すっげー、飛んじゃった。ごめんな?」
「……小町っちゃん、ほんとに42かよ…っ」
そういう智明も、2発目を出したというのにまだ萎えてはいない。
しかしコンドームがあるのでひとまず一回、抜かなければならない。
「小町っちゃ……ひぎゃああああ!?」
智明が急に素っ頓狂な声をあげたのは、小町が智明の上に覆い被さり、乳首周辺を舐め始めたからだった。
「なななな何するんだよぉ!?」
「へ? らって…自分で汚したのは、自分で綺麗にしなきゃだろ。なぁ?」
「そんな、とこにはっ……かかっ、てねぇ、だろ!」
そう、小町はその言葉の割には、精液などついていない箇所を重点的に舐めていた。
これまでほとんど触れられたことのない場所を突然責められ、智明は取り乱しそうになる。
「ひっ、ひゃぁ、や、めろって……ふぁああ!」
小町の舌は、触れるか触れないかくらいの優しい力加減で智明の乳輪の縁をなぞっていく。
舐められた後のところに息がかかって、それがまたこそばゆい。
胸が締め付けられるようで、苦しくなってくる。
やばい、やばい、やばい、やばい……
何だかよくわからないが、非常にまずいと思った。
やめさせないと、自分がとんでもないところまで行ってしまうような気がした。
「……めろって、言ってんだろぉお!!」
智明は力任せにに起き上がって小町を一旦引きはがした上、ひっくり返した。奇襲だったのが大きいのだろう、智明より腕力も体重もある小町ではあるが何とか狙い通りになった。
「うわ、何だよ、びっくりさせやがってぇ……」
「こんっの……セクハラオヤジが! 俺の乳首に触れようなんて100年早いんだよ!! いいか、オイ、ナマでぶち込んで、さっき以上にヒイヒイ言わせてやるからな!」
智明はそう言うと着けっぱなしだったコンドームを取り、適当に結ぶとそこらに放り投げた。
「何怒ってんだよ、もぉ……。……んぁあッ!!」
怒りに任せた勢いで、智明のピストンは先ほどまでより
激しいものになっていた。
「なぁ、なぁ……さ、さっきより固くなってねぇ? すっご、い……おかしい、って……!! あぅ、あひぃっ!」
そういえば男に生で挿れたのは初めてだったな、と智明は思う。何となく衛生的に着けた方がいいのだろうと思っていたが、もうそんなことはどうでもよくなっていた。やっぱり、生の方が断然気持ちがいい。
「くぁっ、ああ、イイ…! やっぱ何本もくわえこんできた男のケツは違うなぁ? あぁ!?」
「あっ、ひぁあ、ひっ、ね…ネコの方は、そんな、言う程経験、ない、ってぇ……!」
凄まじい快感を味わってはいたが、智明の頭の中にはまだ冷静な部分も残っていた。
所詮、小町は他人の物だ。
自分の物じゃない。
というか……誰かが本当に自分の物になったことなんて、結局、一度も無いじゃないか。
それが何だか悔しくて、目の前で小町は四つん這いになって、あられもない声を上げてよがっているのに、そんな状況下でこんなことを考えてしまう自分が嫌で。
だからつい、意地悪なことを言いたくなってしまった。
「……ふーん? でも、拓さんには挿れられてたじゃん」
「そう、だけどよぉ……。ひゃッ、深っ、奥すぎるっ、て…!」
智明はそこで、ピタリと腰の動きを止めた。
「……え……?」
「小町っちゃんはさ。拓さんと、俺の。どっちのチンポが気持ちいい?」
智明は、自分でびっくりするほど冷たい声が出たと思った。
「は……?」
「俺の方が気持ちいいだろ?」
「え……」
「俺のチンポの方が気持ちいいって言えたら、続きしてやるよ」
小町は首を無理矢理智明の方へ向けて、困惑した顔を見せていた。
「あぁ。嘘はダメだぞ? 拓さんのチンポの方が好きなら、ちゃんとそう言わないと。まあ、そうだってんならもうやめるけど」
「う…。あ……えぇー……」
小町はもぞもぞして黙り込んでしまった。
智明にとっても、挿入したままで動かずにじっとしているのは辛い。
「おい、早く答えろよ。素直になればいいじゃん。本人が聞いてるわけじゃないんだしさぁ」
ぺちぺち、と軽く小町の尻を叩いてみせる。
「ぁ……ん、わ、わーったよぉ……」
「ほう? 小町っちゃんの答えはどっちかな。楽しみだなぁ」
小町は一回、息を吐いてから言った。
「と……あきのぉ……」
「何、聞こえない」
「智明のチンポがいいよ……っ! 拓のより、智明のチンポの方が気持ちいいッ! だから、だからぁっ、動かせよぉ…! 早くッ!!」
その切羽詰まった悲痛な叫びを聞いて、智明の心は満たされた。
「よし。わかったよ、仕方ねぇ、な!」
智明はピストン運動を再開した。込められる限りの力で、やった。
「ひああ!! んが、っはぁ! 気持ひぃ、智明の、おちんぽ気持ちいぃい! も、だめ、来るぅ、イクううう!!」
「おお、イけよ、イけッ! 小町ぃ!!」
右手で二発、先刻とは違って思い切りの力で、小町の尻をぶっ叩いた。
「ひぐぅうう! 智明のっ、智明のチンポでぇっ、イっちまうよおおお!!」
一切触れていないのに、小町のペニスから白い飛沫が上がった。
その間、後ろの方の締め付けも種類が変わってくる。
「あっ、くっ、はぁ…はぁ……っ」
熱くて、きつくて、たまらない。
「俺も、出そ……っ!」
智明は一瞬考えて、小町のアヌスからペニスを抜いた。そして崩れ落ちかけた小町の顔の前に立つ。
「顔にかけてやるから、ほら、こっち向けよ……!」
小町は何も言わずに顔を上げ、目をぎゅっと瞑った。その顔は笑っているように見えた。
「んっ……! ふ、あっ、イく…!」
智明自身の手で絞り出された熱い精液が、小町の額や鼻や頬の上に着地していく。
「へへっ…三発目だってのに、多いなぁ……」
「まーな。…あぁー、気持ちよかった。シャワー浴びて寝るわ、俺」
寮なので風呂は共同だから、シャワーを浴びるには部屋から出なければならない。
どうせ男しかいないのだからと、智明は上半身裸のままタオルだけ持って、部屋のドアを開けた。
すると、開けた先に人が立っていた。
「よお」
「あれっ…拓さん。お、おかえり……」
拓はいつも通りの落ち着きぶりでそこにいた。
「い、今帰ってきたの?」
「あぁ…そんなとこだ」
「あ、そう…お、俺シャワー浴びに行くから。それじゃ、おやすみっ」
何をしたって、明日からの関係は何も変わりはしないと思ってはいたが、こうして今この場で拓と顔を合わせてしまうと、先程小町に言わせたことも含めて、さすがに罪悪感というか後ろめたさがあった。
智明は逃げるような小走りでその場を後にした。
早くシャワーを浴びて色々綺麗に洗い流して、寝てしまおうと思った。
「おう、帰ったぞ」
布団の上で放心していた小町に、拓が声をかけた。
「……うわっ、拓!? い、いつの間に帰ってきたんだよぉ!?」
「今だよ」
我に返った小町は、慌てて顔を隠そうとしたが、その前に拓が小町の眼前まで近付いてきていた。
「良い顔になってんなぁ。お前」
「えっ、いやあの、これはっ…」
後ずさろうとする小町だったが、拓はその顔を両手で鷲掴みにして、無理矢理キスをした。
「ん、むぅっ!?」
拓はその両手を、智明の精液や小町の汗でべとべとにしながら舌を小町の咥内に押し込んでいく。
「んむっ…ぅうん……んっ……」
反射的に……というより習慣的に、そうされると小町も舌を絡め返してしまう。長く、深いキス。
「ぅんー……ぶはっ! もう、何だよ、いきなり……っ」
「ん?……味見、かな」
「はあ?」
拓は自分の中だけで納得したようで、一人でくっくと静かに笑っていた。
「そんな全身グッチャグチャにされてよ。よっぽどよかったか、智明が」
「え……う……うん。まぁ」
小町が照れながら素直に答えると、拓はまた堪えきれないような笑い方をした。
「まあ、とりあえず服着ろよ。オッサンが尻丸出しで、みっともねぇな」
「へっ? あぁ…なーんだ。このままするとか言うのかと思ったぜ」
放り投げてあったズボンとパンツを履きながら小町が冗談っぽく言う。
「……俺も今日は若いのに搾り取られて、弾切れだよ」
「へっへっへ。そりゃ残念。じゃあせめて、添い寝でもしてやろうかぁ?」
「アホ、その前に、ザーメンまみれの顔洗ってこい」
「はぁーいっ」
小町だけではなく拓も、顔を洗って歯を磨き、汚れたシーツも取り替えて洗濯機に放り込む。
「うしっ。じゃ、おやすみ〜」
「あぁ」
普段通りに布団を二つ並べて、電気のスイッチを消す。
拓は、小町が三分とかけずにはっきり聞こえる寝息を立て始めたのを確認してから、目を瞑った。
終わり