触手×智明

 ある朝、智明がフラワーガーデンに行くと、そこに一ノ瀬がしゃがみこんでいるのが見えた。
「おーい、一ノ瀬ー」
「あ……ご主人、様……おはよう、ございます……」
「何してるんだ?」
「あの……これを、見てました……」
 一ノ瀬が指し示した方を見ると、そこにはアロエのような植物が生えていた。50センチくらいの高さがある。
 今までこんなものは生えていなかったはずだ。
「おい、一ノ瀬……もう庭師は廃業だって言ったろ?」
 智明は、一ノ瀬がこれを自分で植えたのかと思ってそう言った。
「はい……そうです、けど……あの…今朝、ここに来てみたら、生えてたん、です……いちのせが、やったんじゃ、ないです……」
「へーえ?」
 しかしこの植物は、勝手に生えてきた雑草というには少し特徴的すぎるし、大きすぎる。
「一ノ瀬が植えたんじゃないんだな?」
「はい……本当、です……信じてください、ご主人様……」
「わかった。信じるよ。でも、そうじゃないなら何なんだろうな、コレ?」
 それはアロエに似ていたが、アロエというには葉とおぼしき部分が妙に立体的で、まるで緑色のタコが逆さまに植わっているようだった。
「いちのせ、わかりません……あの、ご主人様」
「ん? なんだ」
「これ……さっき、動いていました」
「はぁ?」
 智明は、一ノ瀬がまた電波なことを言い出したと思った。
「何言ってんだ一ノ瀬。そんなわけないだろ? まあいいや。面白いからそのままにしとこう」
「あ……はい……わかり、ました……」
 智明はその場を去ったが、一ノ瀬はその後もしばらくの間その植物を見つめていた。

 翌日、智明はまたフラワーガーデンに来た。
 一ノ瀬はやっぱりそこにいて、前日と同じように謎の植物の前にいた。
 しかし、今日はしゃがんでいなかった。
 立ったまま、その植物の葉?を触っている。
 そう、その植物は1メートル以上の高さまで伸びていたのである。
「うわ!? ちょっと待てよこれ、どうなってんだ」
「あっ、ご主人様……おはよう、ございます……」
 1メートル50センチほどはあろうか、その植物はますますアロエのようなタコのような葉を長く伸ばして、地面まで垂れ下がっている。
 こんな植物は見たことも聞いたこともない。
「おい。1日でこんなに育ったのか?」
「そう、みたいです……ふしぎ……いちのせ、こんなお花、知らないです……」
「……何なんだよ、これ……?」
 これを植えたのが一ノ瀬ではないにしても、今まで植えていた物の中にやっぱり変な物が含まれていて、土の質とかが変わって突然変異種でも生まれたんじゃないのか?
 智明はそんな風に思った。
「不思議っていうか、不気味だよなぁ」
「そう、ですか……?」
 一ノ瀬は、何もなくなった庭に新しい物が生えてきたのが嬉しいのか、葉を撫でて微笑みを浮かべている。
 それはやはり、智明にとっては面白くないことだった。
「……これも抜いちまうか」
「え……っ。あ、はい…そう、ですね……」
 一ノ瀬は素直に智明に同意したが、これだけの大きさなので、智明一人の力では引っこ抜けそうにない。
「手伝えよ、一ノ瀬」
「はい……」
 二人で植物の根本を握る。智明は初めてその植物に触れたが、弾力があるので驚いた。本当にタコのようだと思った。心なしか湿っているようにも思う。
「せーのっ!」
 二人で抜こうとしたが、植物はぴくりともしなかった。
 智明は、やはり藤堂を呼んだ方がいいと思った。
「とうど――っ!?」
 ところが、藤堂の名前を呼び終える前に、智明の口は何かに塞がれた。
「んんっ!?」
 最初、智明は一ノ瀬に口を塞がれたのだと思った。
 しかしそうではないということが、智明の目に、呆然と自分を見つめる一ノ瀬の姿が映ったことでわかる。
「もがっ、もごっ、おひ、ひひのへ……!」
「あ、ご主人様……いちのせ、どうすれば……!」
 自分の口を塞いでいるものは何だ?
 智明は無我夢中で口元を覆っているものを掴む。
 それは、さっき持った植物の根本と同じ感触だった。
「!?」
 智明が状況を飲み込めず混乱していると、口だけではなく腰元まで何かに抑えられてしまった。
「ああ、ご主人様……! 葉っぱが……葉っぱが、動いて、ます……!」
「んんあこと、わあってるからぁ……! 助け、ろ……っ!」
「は……はいっ」
 一ノ瀬は助けを呼びに屋敷へ向かって走っていった。
 一ノ瀬の力ではこれを引き剥がせないだろうから正しい選択なのだろうが、一人にされた智明は少し心細くなる。
 植物……いや、それはもう植物とは呼べなかった。土から生えているのだから動物ではないはずなのに、明らかに意志を持って動いている。これは触手だった。
 触手は、一本、また一本と増えて、智明の両手を拘束した。
 そして口を押さえていた一本が、智明の口の中に侵入してくる。
「うっ……! ぐうぅ……!! むぐっ、もがぁっ!」
 足をばたつかせて何とか逃れようとするが、無駄なあがきだ。
 触手は智明の喉の奥まで、容赦なく入り込んでくる。
 先端は細かったが、だんだんと太くなっている。
「むがっ、うぐ、う、ぐぅ……っ」
 息が苦しくなり、必死で鼻から呼吸をした。足も動かし続ける。ほんの少しの時間をものすごく長く感じた。
「んーっ、ううーっ、んっ、んぐっ!?」
 そして、腰の辺りに巻き付いていた触手が、あろうことか智明のズボンの中に入ってきた。ベルトを締めているのだからそんな隙間は無いはずなのに、適度な柔らかさを持ったそれはするりとズボンの中に入り込み、更にパンツの中へと動きを進める。
 智明は何が何だかわからなかった。
 ただ、触手が服の中で暴れて、布が破ける音が聞こえた。糸が弾ける音がして、涼しい風が通り抜けていく。
――おい、嘘だろう? これは、夢だろう?
 呼吸もままならず意識が朦朧としてくる中、尻からはっきりとした痛みが智明を襲った。
「――――――っ!?!?」
 入っている。
 挿入されている。
 他人に入れたことは何度と無くあったが、入れられたことは一度もなかった智明の肛門に、触手が初めての侵略を果たした。
「うっ、うっ、ぐううっ」
 智明は痛みに悶えた。
 見えないのではっきりとはわからなかったが、内腿がぬるぬるしているのを感じる。出血しているのかもしれないと思う。穴周辺に焼け付くような痛みが走っているが、触手は奥へ奥へと潜り込んでくるので、内臓を襲う鈍痛も感じたことのないレベルだった。
 その場にへたりこみたかったが、両手も口も押さえられているので動けず、ただ腰だけをびくびくとさせられるだけだった。
 痛みのあまり歯を食いしばろうとしたが、口の中にも触手が入っている。必然的に、触手に噛みつく形になる。
「ぐぅ、ぎぃっ……!」
 噛まれた触手が動きを引っ込めるようなことはなかった。相変わらず口の中、喉の奥をうねうねと動き回っていたが、噛まれたところから何か液体が出てきた。いやが上にも飲み込むことになる。
「んっん、うーっ、んぐぅっ?」
(甘い……?)
 それこそアロエのような、でもそれとも違う、味わったことのない甘美な味。
 その甘さは、智明に痛みを忘れさせた。
「んっ、んん、うぐぅ、ふぅううんっ」
 それどころか、その甘味は痛みを快感に変えだした。
 智明は苦痛から逃れるため、本能的に口の中の触手を舐め始めた。舐めて甘噛みして、甘い汁を啜る。
 気持ちいい。
 汁の甘さだけではない。触手の弾力のある柔らかさも心地良い。後ろの穴の中でぐねぐねと蠢いているモノも気持ちがいい。今まで感じたことのない充足感が生まれていた。お腹の苦しさも、何故か満ち足りているような心地に変わる。
 今まで、他のことはともかく、性的なことに関しては全て自分の思い通りになってきた。特にここに来てからは−−
 しかし、この触手は違う。智明の屋敷に生えているのだから智明のモノであるはずなのに、全く思い通りにならずに、好き勝手に智明の中を蹂躙している。
 それは許せないことであるはずなのに、どうしてなのか、たまらない快感を智明にもたらしていた。
「んっ、んーっ、むぐう、ぐう、ふぁ……あ、あれっ、何でぇ……っ」
 自ら腰をくねらせて与えられる淫猥な感覚を貪っていると、口の中にいた触手がずるりと抜けていった。
 口は自由になったが閉まることはなかった。まだ触手が残っているような感じがして、舌も出たままにとろけている。
「はぁ、はぁ、あぁ……っ、ひ、ひぐぅうっ!?」
 智明の唾液と胃液と甘い汁が混ざって、ぐちょぐちょに濡れた触手は、今度は智明のペニスに絡みついた。
「あぁっ、えっ、おい、嘘だろぉ、あぁ…ぐぁあっ!」
 既に勃起していたペニスに刺激が加えられ、更なる気持ちよさが智明を襲う。
 智明にあちこち噛まれた触手の小さな穴からは、あの媚薬のような甘い液体が流れ出しており、亀頭に直接こぼれ落ちていく。
「あぁ……あっ、くぅ……」
 後ろの方も、全く衰えてはいない。二本の触手のバラバラな動きのあまりの激しさに、智明は下半身全てが性器になったかのような錯覚に陥っていた。
「も、あぁ、らめぇ、いっイキそ……」

「ご主人様ァアアアアア!!」
 その時ようやく、藤堂がフラワーガーデンに向かって走ってきた。しかし、もう遅かった。
「う、わっ……!? どうなってるんすか、これ…!? す、すぐにお助けするっすからね!!」
 藤堂は混乱しながらも、真っ直ぐに触手と智明の方へ向かってくる。
「ま、てぇ……」
「え?」
「助けなくて、いい……、んぅっ」
「えっ!? ご、ご主人様?」
 今にもイキそうなのに、それを邪魔されたくはない。智明は心からそう思っていた。
「で、でも…ご主人様……!?」
 走ってきた藤堂の後ろから、一ノ瀬も戻ってきているのが智明の視界にチラリと入る。
 見られている。
 単なるオナニーとはわけが違う、何だかよくわからない生き物に両手を拘束されてケツに触手を突っ込まれてチンポも弄くられてよがってイクところを、見られている。
――おかしい。
 俺がそんなことに興奮するわけがない、俺は変態じゃない俺は変態じゃない俺は変態じゃない俺は変態じゃない俺は変態じゃない俺は変態じゃない俺は変態じゃな
 声を堪えていると、藤堂がまた近付いてくる。触手を引き離そうとして。
「やめろっ、動くな、めい、れい、だ……っ! 来る、なぁ……っ、きもちいい、きもちいいからぁ…っ! イクからぁ……来るな……っ、あ、ひぎぃっ、奥、深すぎる……っから、も、だめっ……イク……っ!」
 草の生えた地面に向かって、智明の精液が勢いよく飛び込んでいく。
「あっ…あっ……うぅ……」
 しかし、火が付いた智明のペニスは、一度射精したくらいでは止まらないし、触手もまだ元気よく、うねり続けている。
「ごっ…ご主人様……あの……っ」
 藤堂と一ノ瀬が呆然と智明を見守る中、騒ぎに気付いた他の執事達も、フラワーガーデンの様子を見に集まり始めていた。





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